村八分になるとわかっていて
秋田杉を運んだ人たち―詳記 東北林業の文化・労働史 (みちのく・民の語り)
- 作者: 野添憲治
- 出版社/メーカー: 社会評論社
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そこで冬を越すという体験をされている。
まだ著述家になられる前、少年時代も飯場の事務所で筆記具をもらって
とにかく字を書いたり、本を出す具体的な計画もないのに
地域の歴史を知る方に話を聴きにいったり(野添さんは秋田の方)
されていた。
表現したいという「衝動」を自然にもっていらっしゃたんだ。
伐採の仕事では、豪雪の中に冬の間留まらなくては行けない、
冬の雪の中で亡くなってしまった人は放置するという暗黙の掟があり、
(そういう掟をつくったりそれに従ったりするのは、底から冷たく意地悪で、めんどくさがりな人間だ)
従わなければ村八分になる。
野添さんと一緒に働く伐採夫が亡くなってしまったとき
野添少年はおとうさんと二人で
そうせずにはいられず
亡くなった人を埋葬しにいった。
あとで村八分になるのとわかっていて。
人生のどこかで真実に触れ、それが尊いと感覚的に知ったり
何をやろうとも信頼して見守って肯定してくれる大人がそばにいたりすれば
成長してしきたりや周囲の視線に雁字搦めになって、感情を殺して冷酷な行いに加担することもなくなる。
恐怖心が最大の原動力で
仲間はずれにされない、いじめられないために生きている人にはそれはわからない。
追記
野副憲治さんは今年4月8日に亡くなっていらっしゃいます。このお名前は筆名だったのですね。
2000年頃つけたラジオで、野副さんのインタビューを聴いた時に、
浮ついたヘラヘラデレデレした大人でいるのは止めようとの大分昔の決意を思い出して
我が身を振り返って、自分の生き方で生きようと、反省したのでした。
偶然聴いたあのインタビューでちょっと、人生が変りました。