被虐待児は百鬼丸
被虐待児の敵はいつ襲ってくるか分からない、密室だから助けも呼べない、自分は呼んでいい、助けてもらっていい、助けてもらうべきだとも思えない。極度の緊張にまだ幼いのに味方もなく耐えなければいけない。
子息Martin Miller氏の手記を知る前は何もかも全て読もうと思っていたAlice Millerの本に殉教者には特定の疾患が見られると書かれていた。自分の感情や生きていたい、自由になりたいっていう欲求より教義の方が大きい人生なんて異常だ。病気にもなる。殉教者ではないけど、異常な自己抑圧を虐待経験者は大人になっても生き続ける。
医師による「被虐待児に見られる脳の萎縮」との描写を目にしてから、治癒に向かうような心地よい頭痛が続いていた。「そうか私の脳も萎縮しているんだ、だったらあの行動この行動、普通に振る舞えないのも無理はない、明らかに器質的障害はある、自分が悪いんじゃない」そう思ったらなんだか安堵して、心地よい頭痛が起こるに任せていた。それから2、3日して2年前からあった膝の裏のコブのような膨らみが退縮して膝のむくみが引いたのに気づいた。安堵と解放感が生理的な変化をもたらしたんだね。
私の感情は生き延びるために死んだふりを続けていたけど、目にした言葉や光景、立ち会った出来事がきっかけになって弾力を取り戻し、まさか戻れるとは思っていなかった本当の自分に一歩近づくことができる。そういう時、手塚治虫著『どろろ』の百鬼丸を思い出す。妖怪を一体倒すごとに体の一部を、彼の場合は、獲得する。現・元被虐待児もみんな百鬼丸だ。過酷な幼児期を、普通に育った人では理解しえない感情を抱えて生き延びてきた。そして体験した者にしか分からない猛烈な憎しみと極端な自責感、感情が行動に直結した自然な振る舞いができない自分をなんとか制御しながら生きていて、何かの拍子に手や足や眼球を取り戻したりする。
生きてさえいれば取り戻せる、私も絶望していたけどなんとかなった、だから他の人たちにも頑張ってほしい。
本当の自分に戻ることを最優先に生きていってほしい。思い切りわがままに自分を甘やかして大事にして生きていってほしい。まだ幼かったのに、誰も耐えられないような大変なことに頑張ってひとりで立ち向かってきたんだから。
The True “Drama of the Gifted Child”: The Phantom Alice Miller ? The Real Person
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The Body Never Lies: The Lingering Effects of Hurtful Parenting
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